大学院で私の指導を受けたいという学生さんへ(2)入試のための勉強について
大学院入試のためにどのような勉強をすればよいですかと聞かれることがあります.うちの大学は指導教員予定者が出す問題とそれ以外の教員が出す問題,そして人によっては外国語試験があります.試験の要綱については法学部事務室で確認してください.他の教員の出題についてはわかりませんが,出題者として私には以下のような出題傾向があります.
①基本的に自分がやっている講義内容の理解を問う.
②比較的オーソドックスな政治学の理論や概念に関する理解を問う.
③近年に発行された重要な政治学書籍についてのコメントを求める.
だいたいこれらから1問を選択して回答を求める形式が多いです.
①については基本的に教科書を指定していることが多いので,そこを中心とした出題となります.②については近年よい教科書がたくさん出ていますので,そのあたりを読んでおくことで対応できると思います.私の出題分野でいうと砂原・稗田・多湖『政治学の第一歩』2015年,飯田・松林・大村『政治行動論』2015年,久保・末近・高橋『比較政治学の考え方』2016年,粕谷『比較政治学』2014年あたりが教科書としてはお勧めです.また東京大学出版会から出されているシリーズ「日本の政治」の各巻についても目を通しておいてほしいところです.③については比較的近年に話題になった政治学の本が対象になります.
あと試験に出すわけではありませんが,大学院入学前にぜひぜひ読んでおいてほしい本としては富永健一『現代の社会科学者』があります.この本に書かれている実証主義と理念主義の問題は現在の政治学においても切実です.学部生が読んですぐわかるような本ではないかもしれませんが,何度も読み返す価値のある本です.大学の教員としてリサーチ・メソッドの指導を学生にする際に,この本に書かれてある知識は本質的に重要だと思います.
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